健康診断と前立腺PSA
前立腺癌の早期発見
私は1942年(昭和17年)生まれの男性です。今まで風邪ぐらいしか引いたことがなかったのですが、70歳を過ぎてから次々と大きな病気をするようになりました。その原因については、特に思い当たることはないのです。ただあえて言えば「加齢に伴う免疫力の低下」が原因の一つのような気がしています。前立腺癌は間質性肺炎の治療中に見つかり並行して治療しました。このサイトでは私の前立腺癌の治療記録を元にして、その経過や前立腺癌に関する事がらの詳細を掲載しました。一通り読んでいただくと前立腺癌に関する様々な知識や治療方法がある程度理解していただけると思います。
前立腺癌に限らず癌は早期発見が非常に重要です。早く見つかるか否かで、天と地ほどの差があるといっても過言ではありません。早く見つかれば比較的治療も容易ですが、早期発見が遅れて癌が転移していると根治は困難になります。前立腺癌の場合は血液検査PSAだけで容易に癌の疑いがあるかどうか判断できます。そのためにも定期的な健康診断は欠かすことができません。自治体によってはPSA検査がオプションになっている場合もあります。わずかな費用ですのでPSA検査は必ず受けるべきです。そうして早期発見すれば前立腺癌の転移を未然に防ぐことが出来るのです。
著名人・有名人も多くの方が前立腺がんに罹っています。明仁天皇陛下(平成)・梅宮辰夫・北村総一郎・西郷輝彦・杉原輝雄・角盈男・高倉健・西川きよし・花沢徳衛・深作欣二・ドクター中松・間寛平・南春夫・宮本亜門・森喜朗・湯川秀樹・米長邦雄・渡辺淳一・渡辺恒雄など(敬称略)。
前立腺の位置と機能
前立腺(ぜんりつせん)(prostate)は、生殖器官の一つで男性のみに存在します。膀胱の真下にあり尿道を取り囲む様になっており精嚢(せいのう)が隣接してあります。形状はクルミ大の3cm程度で重さは数10g程度です。前立腺の機能はまだ解明されていない部分が多い未知の臓器です。主な働きとしては前立腺液の分泌、射精における収縮、排尿などにも大きく関わっています。
過去の前立腺検査記録
総酸性フォスターゼ ACP。2000年(H12)頃の前立腺検査の記録です。その当時はPSA検査ではなく、総酸性フォスターゼACPという検査が行われていました。総酸性フォスターゼACPは前立腺に多い酵素で前立腺での異常を調べるときに検査が行われます。前立腺肥大症、前立腺癌等の腫瘍マーカー(がんの発見や経過観察に重要な役割を果たす検査数値)として利用されていました。しかし感度が低いために現在ではPSA(前立腺特異抗原)が利用されています。下記の私の健康診断記録では特に数値に異常は見られません。
総酸性フォスターゼ ACP 基準値14.4以下
- 2000年(H12)9月13日 8.8
- 2001年(H13)11月20日 9.7
近年の前立腺検査記録。
前立腺特異抗原PSA。PSAは「prostate-specific antigen」の略で前立腺特異抗原といわれます。前立腺から分泌され、ごく微量が血液中にも取り込まれます。正常な場合のPSA値はおおよそ2ng/mL以下で、一般的に4ng/mL以下が標準値とされています。しかしこのPSAは前立腺に前立腺癌、前立腺肥大症、前立腺炎などの異常があると血液中に大量に放出されて濃度が高くなります。前立腺の異常にのみ反応する、前立腺に特異的な抗原です。そのため前立腺がんの腫瘍マーカーとして使用されます。健康な人の場合のPSA値は2.0以下とされています。年齢にともなって増えていきますが最大でも4.0以下が標準です。これ以上の数値になると前立腺に何らかの異常が疑われるのです。
年齢によるPSAの基準値
年齢 | PSA(ng/ml) | 年齢 | PSA(ng/ml) |
49歳以下 | 2.5以下 | 50~64歳 | 3.0以下 |
65~69歳 | 3.5以下 | 70歳以上 | 4.0以下 |
市の健康診断で見つかった前立腺異常
下記の私の記録では2013年(H25)8月の市健診で5.01の数値で異常が見つかっています。この時は健診先から「健康診断結果票」として「再検査を受ける必要があります。下記の診療科をご受診頂くか、掛かりつけの医療機関にご相談ください。」として「PSA(前立腺特異抗原)高値」と記されていました。この時は「このくらい大丈夫だろう」と思って再検査をしませんでした。
翌2014年(H26)前年の前立腺検査で異常が出たので、今回も市健診と前立腺検査を受けるべく予約を入れておきました。数値が高かったら直ぐに精密検査をしようと思っていました。しかし健診日の数日前から熱が続いて予約を取り消しました。その後も熱は引かず間質性肺炎だということが分かり大学病院へ緊急入院する事態となりました。そのため2014年(H26)の市健診は出来ませんでした。2014年(H26)から2015年(H27)にかけて40日以上の入院生活を送り病状が改善したので退院しました。と言っても病気が完治したわけではありません。時々間質性肺炎が再燃したりして現在も治療中です。ただ小康状態のため前年出来なかった健康診断を受けることにしたのです。平成27年の前立腺検査結果は心配していた通りPSA値7.69の高い数値でした。この時も健診先から「健診結果ご報告」として再検査を促す通知がきました。
PSA検査値(70歳以上基準値 4.0以下)
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- 2011年(H23)8月13日 市健診 2.96
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- 2012年(H24)9月7 日 市健診 PSA値3.11
- 2013年(H25)8月16日 市健診 PSA値5.01 市より連絡あったが再検査せず
- 2014年(H26)11月 発熱のため受診できず
- 2015年(H27)7月27日 市健診 PSA値7.69 市より連絡あり再検査の申込
- 2015年(H27)8月11日 PSA再検査
- 2015年(H27)8月15日 PSA再検査結果 PSA値9.05
前立腺の再検査を受ける
2015年(H27)の市健診の前立腺検査でPSA値が7.69という高い数値がでました。このため再検査を受けることになりました。2015年(H27)8月、掛かりつけのS病院で初めての泌尿器科を受診することになります。担当のI ドクターは40代後半位で温厚そうな感じです。市健診での検査結果の説明を受けPSAの再検査をするため採血をしました。4日後の検査結果では9.05という前回より更に高い数値がでました。そのためMRI検査を勧められて検査予約日を決めました。
前立腺癌の自覚症状
今まで前立腺の名前はよく見聞きしますが、機能とか位置とかはよく判りませんでした。従って今まで前立腺を自覚するということはほとんど無かったです。前立腺と関係の深い尿意について、自覚するようになったのは多分45歳くらいからだったと思います。便器の前に立っても尿が出るまでに少し時間がかかる。尿の勢いも若いころのようなほとばしるような感じはなくなった。しかし特に尿意の間隔が短くなるようなことはなかった。若い頃は一度も起きなかった夜のトイレですが、最近では夜中に1~2回起きるようになっていました。ただPSAの数値が上がってきても、体の方は特に異常だとは感じませんでした。
前立腺癌に関するニュース
2019/04/20 FNN.JPプライムオンライン(抜粋)医師「早期では症状が出ない」国立がんセンターの統計によると、最近では、がんにかかる確率が男性62%・女性46%とおよそ「2人に1人」が、がんにかかる時代だ。
そんななか、2020年以降、1番多いがんになると予測されているのが、「前立腺がん」。先日、演出家の宮本亜門(61)さんが公表したのも前立腺がんだが、胃がんや肺がん、大腸がんなどと比べて、詳しく知られていない。いったいどんな病気なのか…豊富な治療実績がある愛知県の刈谷豊田総合病院を訪ねた。
Q.前立腺がんとは、どこにできるどんな病気か?
刈谷豊田総合病院(泌尿器科)田中国晃副院長:男性の膀胱の下に『前立腺』があります。がんは前立腺の外側にできやすいんですね、尿道から離れているので早期では症状が出ない。進行すると尿道が圧迫しておしっこが出にくいとか、血尿が出るなどの症状がでてきます
Q.なぜ前立腺がんが急増しているのか?
田中副院長:1つは高齢化ですね、高齢男性の病気なので。2番目は食事の欧米化ですよね。もともと前立腺がんは日本人に少ないと言われていたんですけれど、環境の変化で増えてきました。一般的にゆっくり進行して、早期発見では治る可能性が高いが発見が遅れると骨に転移しやすいという特徴もある。もう1つ増えた要因は、血液を採るだけで分かるという「PSA検査」の普及だ。「前立腺がん」にかかると「PSA」と呼ばれるたんぱく質が血液中に漏れ出す。採血をして、このPSAを測定するだけで、高い精度で「前立腺がん」の可能性が分かるようになった。この検査のおかげで早期発見での治癒が可能となった。PSA検査は健康診断や人間ドッグの際、3000円ほどのオプションで受けられる。
前立腺がんの治療は3つ、「手術」と「放射線治療」「ホルモン療法」がある。
早期の患者に行われるのが「手術」で、「ダヴィンチ」という手術ロボットも使われる。執刀医は、遠隔操作でお腹の中のアームとカメラを動かして「前立腺」を摘出する。
田中副院長はこれまで300人ほどを治療したスペシャリストだ。
田中副院長:「傷口が小さいので回復が早いということと、出血が少ないですよね。なので輸血することがないです。膀胱と尿道を縫う時に非常に細かく丁寧にできるので、入院期間が短くなります」このほか前立腺がんを進行させる「男性ホルモン」の作用を抑えて、がんを小さくしていく「ホルモン療法」や、主に75歳以上や手術を選ばなかった場合は、「放射線治療」を選択できる。体の外から前立腺に放射線を当て、がんを根治させますが、毎日1カ月半ほど平日に通う必要がある。
さらに患者が直面するのが高額な医療費だ。ここで知っておきたいのが拠点病院に設けられている「がん相談支援センター」の存在だ。「がん相談支援センター」では、高額な医療費を軽減する制度などを教えてもらえる。
刈谷豊田総合病院 医療ソーシャルワーカー 高麗彰子さん:だいたい、通常月々25万円から30万円までの所得の方ですと、月々10万円を越えた位の金額は戻ってくると思っていただいていいかもしれないです。実際に前立腺がんが発見された場合、医療費については一時的な負担でも大きな額になるため、病院のセンターにまずは相談してみてほしい。(東海テレビ)
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